完全防音って果たして可能なの?

あけましておめでとうございます。
子供の頃は「年を越せるかどうか」なんて心配をしたことはありませんでしたが、成人になり毎年その言葉の重みを思い知っております。




当ブログは細々と続けていこうかと考えておりますので、今年もどうかよろしくお願いいたします。





さて今年一発目のテーマですが、タイトル通りでございます。





「完全防音って果たして可能なの?」





発達障害の症状として、聴覚の過敏さに悩まされている方も多いと思います。





私個人もさんざん悩み、自覚もなければ発達障害なんて言葉もなかった時期に
「耳を切ってしまいたい」と、まるで某オランダの画家のような事を思い、実際に口にしてしまったこともあり、変人扱いされた記憶があります。
今思えば当たり前だけど、やっぱりわかって欲しかったというのが本音です。





今回どうしてこのネタにしようかと思ったかというと、冬は皆様ご存じ
「灯油の販売車」が町中を走り回るので(高級住宅地にはいないらしいけど本当だろうか)、悪い事してるわけじゃないんだけどやっぱりうるさいなーと思うので、なんとかならないかと。






年末には古物回収のトラックも来て、家の近くまで来た時に本当に気が狂いそうになったので、これはちょっと考えを整理しないではいられないなと。








まず、あのトラックに近づいて「うるさい」などと言ったところで、面倒なことにしかならないというのは容易に想像できる。
何より向こうからしてみれば営業妨害なわけで、おそらく営業を止めてはくれないだろうと思う。







当事者としてはもちろんやめてほしいところであるが、向こうが副業だとか趣味でやってるからやめても特に困らないという状況でもない限り、やめてはくれないだろうと思う。







個人的にも面倒は避けたいので、建設的な解決策として「完全に外部の音を防げる方法はないか?」と考えたのです。







個人的に現在とっている防衛手段は、耳栓とイヤーマフである。
安価で手軽なので、おそらく誰でもとれる防衛手段である。
しかし、例えば廃品回収のトラックが家の前まで来てしまうとさすがに音が入ってきてしまうし、体質にもよるのでしょうが私は耳が腐り気味になってしまうので(密閉されることによって耳の穴の中の湿度が高くなりすぎるからだろう、と思っている)、本当はやめたいのが本音である。








一時的な避難場所として、楽器の練習スタジオを借りるという手がある。
そこそこの規模の町なら楽器屋があるはずで、その楽器屋が練習やイベントのために防音設備があるスタジオを持っていることが多い。
相場は広さにもよるが、1時間500円くらいから借りられるところもある。広さや設備の充実度に比例して値段は上がる。
そこだけ壁を厚くしたり防音材を貼ったりなどして建築レベルでの防音をしているので効果はそれなりに期待できる。ドアもたいていは二重である。
ただし所有するのでもなければ基本的に「借りる」という形なので、いつでも使えるわけではない、自分だけの場所にはできないなどのデメリットもある。
ただ、比較的安価に安全な場所を確保できるという意味では利用価値はあると考えてよいだろう。





以下の方法は実践できていないのと、対策をとれるかどうかは住環境に大きく依存するので、冗談だと思って読んでいただきたい。






「だんぼっち」という商品がある。
これは元々、PCを利用して動画などを個人で配信する人向けの商品で、平たく言うと「段ボールでできた簡単な防音室」というようなものである。
何か配信するときの話し声を、アパートなどで隣に声が漏れないようにする目的で開発されたと考えられる。
私は今のところ何かを配信する予定はないので、中に入れば遮音が期待できるのであれば導入したいかな、と思っている。
ただし、それなりに大きいし、値段もそこそこするので、これでもし遮音性が低かったらと考えてしまう。
防音材・吸音材などを足す改造を施すのもどうだろうと思うが、内部がもともとそんなに広くなさそうなので、改造により居住性が落ちることも考えられなくない。

組立式 簡易防音室 だんぼっち

組立式 簡易防音室 だんぼっち






楽器の練習用の防音室などはどうだろう。
楽器というのは基本的にそれなりに大きい音が出るものなので、専用の防音室はそれなりの効果が期待できるといっていいだろう。
しかし、設置は基本的に屋外なので、土地が必要になり、早い話庭付きの戸建てか土地ならいくらでもある田舎にでも行かないと設置できないだろう。
効果は大きいが代償も高いといえる。

アマゾンで扱っていないので商品紹介のリンクです↓
防音室・調音パネル - 製品情報 - ヤマハ – 日本








防音室のある物件(アパート、マンション)を借りるという選択肢もある。
不動産を探すサイトやアプリだとそういう条件を入れて検索するとヒットすることがある。
程度も様々で、「普通のワンルームだけど楽器可」というところもあれば、本当にしっかりとした防音室を備えた物件もある。
読者を失望させたくはないですが、やはり程度と家賃がほぼ正比例していて、せいぜい不便な立地だと多少家賃が下がる程度で基本的には防音のしっかりしているところは家賃も高い、と考えたほうがよいでしょう。
(「楽器可」なんてだいたいが普通のアパートに見えるし、大家さんが寛容ならそれはありがたいけど防音対策をしている旨を物件情報に載せておいてほしい、していないならそれは本当の意味で楽器可ではないのではないかと言いたいのはここだけの話)
個人的な推測で物を言うと、完全防音の部屋がある物件はかなり高級で立地もよく、お金持ちで趣味が楽器の人か音大生(芸大の音楽コース、音楽系の専門学校も含む)なんかが入居しているんじゃないかと思っている。






本当に非現実的な意見ですが、言います。
防音設備のある建築、家でもマンションでも好きなやつを、自分で建てるという選択肢です。
コンクリートを厚めにしてもらい、防音材吸音材を敷きつめ、しっかりとした鍵でもかければ完璧でしょう。
あとは内装を自分の好みにすれば居住性もよくなります。
問題としては、とにかく費用がかかる、今起こっている騒音に耐えられない場合すぐにとれる対策ではない、建てたところで騒音とは別の問題が起きたとしたら(隣人リスクとか)対策をとりづらい、おそらくローンを組まないと買えないので返済に追われる人生になる、などでしょうか。
自分にとって理想的な環境を作れるでしょうが、代償はとても大きいと言えます。







「金がかかる対策ばかりではないか!」と言われそうなので、そもそもあまり音のしないところで暮らすという選択肢はどうでしょう。
基本的に田舎ばかりになるので便利な暮らしではなくなるでしょうが、騒音にあまりに悩み苦しんでいるのであれば考えるのも手だと思います。
よほど僻地(青森とか鹿児島とか)に行かない限り日本国内なら標準的な日本語が通じますし、物価に至ってはたいてい地方のほうが安いです。
車が運転できるなら暮らしていける土地はさらに増えると考えられます。
考えられる問題点としては、都市での楽な暮らしに慣れ切った人間では田舎の過酷な生活環境にはなかなか慣れることはできないでしょうし、移住した先の人間と問題が起きるというのはよく聞く話です。(東京生まれの人間から言わせて頂くと、国家単位で考えれば都市の住民の地方への移住を柔軟に考えて頂くと今後日本はよりよい国になると思います、難しいでしょうが)
相応の覚悟が必要になってくるでしょう。





最後に。

(以下既存の書籍より引用、権利関係はわからんので好きにしてくれ)

日本を含むアジアの環境音に対する防護姿勢はおしなべて軽い。それは住居のつくりとも関係しているようだ。日本のむかしの住居は木と紙と藁から作られており、長屋などは粗末な土壁一枚で隔てられている。その頃は隣からの生活音が聞こえてきても「聞いていない」という環境順応をしてきたという。
外からの音が安易に入り込んできてしまう住居は、アジアの家づくりにとても多い。けれどこれは同時に心地のいい睡眠を持続させる音と微妙に隣接している、という別の見方もある。

新潮新書 椎名 誠著「ぼくは眠れない」166ページより引用)

ぼくは眠れない (新潮新書)

ぼくは眠れない (新潮新書)


この一文と、引用はしていないが前後の文章から察すると、
・日本人は基本的に建築レベルで住環境の防音に対する意識が低い。心理的な意味での防音しかしてこなかった。
・が、それは自然のリズムと一体で暮らすことでもあり、故に健康的で睡眠をとることも容易な家づくりであった。
(あくまで個人的な感覚に基づく意見です)



日本は明治維新から近代化を推し進めてきて、近代化によるメリットも享受し続けているので、今さら住宅を木と紙と藁で作っていたような時代には戻れないであろう。
となると、現代的な社会や住宅の事情に合わせた対策を練らねばならないということで、簡単には答えが出ない問題にぶち当たってしまったなーと思うのであります。