音漏れ星人は地球から退出願いたい

 先日電車に乗って出かける用事があった。
 途中から混んできて、私の立っている隣に人が立った。
 その人がいわゆる、「音漏れ星人」だった。
 私は音漏れ星人という存在が大嫌いで、見かけるとタイトルの通り地球からいなくなってほしいと思うくらい嫌いなのである。
 
 今時電車の中で音楽を聴く人なんて珍しくもなんともないし(ソニーの初代ヘッドホンステレオの発売から30年以上経っている)、こんなことにいちいち目くじらを立てていたら生きていけないのが現代なのだろう。
 
 音漏れ星人が隣に来たので、私は宇宙と地球の歴史の長さを頭に思い浮かべてやり過ごそうとした。
 地球の誕生から46億年。人類の誕生から1千万年。日本という国ができて2500年。それらの長い長い歴史の中に埋没するような数多くの小さな出来事だと自分に言い聞かせた。
 ………無理だ。
 どうしてもあのイヤホンから漏れ出てくる騒音に意識がいってしまう。
 
 こういう時、騒音の主はいつだって自覚のありそうな素振りがない。気がついていない、というやつだ。
 しかし、音量が大きすぎる事に気がついてもよさそうなものだ。だいたい音量は勝手に上がることはない。聴く主が勝手に上げるものだ。
 しかしもうじき終点の駅に着く。これ以上無駄に神経をすり減らす必要もないだろう。とりあえずSNSに悪態をつく程度で済ませておこう。たまたま本人が気がついてくれて音量を下げてくれることもありうるだろうし。
 私はSNSに音漏れ星人についての悪態を書き込んだ。配慮として少しやんわりとした表現にしておいた。万一他人の目に触れても角が立たないように。
 その時、電車が急ブレーキをかけた。私は立っていたのでもろにバランスを崩してよろめき、音漏れ星人と反対側の人に倒れてぶつかった。
 ぶつかった相手に一言謝って立ち上がった。電車はもうじき終点の駅に着きそうだった。しかしタイミングが悪すぎる。まるで悪態をついたのを察知されて、仕返しだったんじゃないかとすら思うくらいだ。音漏れ星人にはそんな能力があったのか。
 電車は駅に着いた。音漏れ星人はもちろん見知らぬ人なので問い詰めるわけにもいかない。こっちも用事がある。音漏れ星人に気づかれぬよう、若干だけ憎しみの感情を込めてにらんだ後、ホームに降りた。
 
 




 気がついたら小説みたいになっていました。京アニに応募するわけではないです。
 とにかく昔から音漏れ星人さんは嫌いだし、なんとかならないかとずーっと思っている。
 さっきも書きましたがヘッドホンステレオの誕生から30年以上経っていますし、今の進歩したデジタル技術とかでなんとかならないもんでしょうか。
 音漏れが嫌いすぎて電車通学ができなくて、最初に入った高校をやめてしまう要因のひとつになったので、鉄道会社とかオーディオメーカーとかはわりと本気で対策を考えてほしいと思う。長距離移動するのに毎回タクシー呼べるほどリッチではないし。

 あと最後に、全国の音漏れ星人に言いたい。
 他人に迷惑をかけないようにしようとか、野暮なことは言わない。
 とにかく、やめてほしい。
 電車の中で音量をちょっと下げるだけでいいのである。
 みんな迷惑がってるますよ、とか言わない。
 私個人が、あなたに対して、その行為をやめてほしいと切に思っているのです。
 以上。